甘い恋の誘惑

Γさぁ、知らね」


数分後、本当に知らない感じで俊は呟いた。


Γえっ、知らねって何?」

Γだって知らねぇし。つか、アイツの恋愛話なんか聞いても楽しくねぇもん」

Γえ、そう言う問題じゃなくない?どっちから告ったの?」

Γ女」

Γへー…そうなんだぁ」


莉子が小さく呟いた声と同じく、あたしは全く同じ言葉を心の中で呟いてた。


何故かちょっとだけ安心したのは気の所為だろうか。女から告った事に少しだけ安堵感が出たのは気の所為だろうか。

じゃあ、大和から告ったって聞いてるとあたしは一体どうしてたんだろう。


何でここまで大和を意識してんのか分かんない。ただ好意を持ってただけで付き合いたいとまでは思ってなかった。

と言うか男と付き合うと言う事にあたしは避けてるだけだと思うけど。


けど今更、大和に何かを求めても無駄なんだ。現に今、彼女と言う存在が居るだけでもう近付けない気がした。


友達以上、恋人未満。って何なんだろう。今までのあたしと大和ってそんな関係だった。


でも、もうそれも今日で終わると何だか淋しくなる。その友達以上、恋人未満の境界線があたしには分からない――…


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