大空の唄
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プルルルル


耳元から聞こえる電子音


ドキドキドキドキ


体内に響き渡る早く規則的な心音


それ以外は何も聞こえない


空はもう既に暗くて辺りはシンと静まりかえっている


『はい…』


電子音が聞き慣れた声に変わったとき


あたしの心音は更にスピードを増した


「そ、蒼空?
今時間大丈夫?」


『何で?無理』


ほんとに無愛想なやつ…


「お願い!!
蒼空に言いたいことがあるの」


『はいはい、用件は手短に』


あたしはゴクリと息を飲んだ


「あたし、先輩と別れようと思う」


『はぁ?』


一瞬怖いくらい沈黙になった後
再び蒼空の声が耳元で響いた


『理由は?』


「付き合ってみて気付いたの

先輩への"スキ"は憧れだったって…」


翔くんが帰ってからあたしは
いろいろ考えてみた


今までの気持ちと今の気持ちについて


そして気付いた


先輩への気持ちが薄れたんじゃない


あたしの中に先輩以上の人がいるんだ


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