大空の唄

桃色の空 -AYANE-

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蒼空にはあっさりフラれたけど


やっぱりあたしは翌日先輩に別れを告げた


『最初から分かってたんだ
こうなってしまうんじゃないかって』


『え?』


苦い笑顔を浮かべる先輩を
見ているだけで辛くなった


『そもそも急に告白したのも
焦りを感じたからなんだ

ずっと近くにいた絢音が
どんどん離れていくから…』


先輩ごめんなさい


『俺、自惚れてたんだ
絢音があんまり分かりやすいから』


あたしは先輩にいっぱいいっぱい
幸せを貰ったのにあたしは先輩に
何もあげられなかったね


『ライブの日、泣きそうで
でもなぜか幸せそうな絢音の顔を見て

出遅れたってマジでヤバいって思った
でも、絢音の幸せ優先してやれないくらい
絢音のこと好きになってた』


あたしには謝ることもできなかった


『無理にキスしてごめん
あれ、キスにカウントしなくていいから』


あたしは首を横に振った


気が付けば目からは涙が溢れていて


それを見た先輩は


『あーあ、また泣かしちまった』


そう言ってあたしの髪をぐしゃぐしゃにした


ごめんなさいって言いたかった
ありがとうって言いたかった


でも…胸がいっぱいで言葉にならなかった


いつか時が経ったら言えるかな?

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