大空の唄


顔を上げた絢音と目が合う


その表情はいつものようなバカみたいな笑顔じゃなくて、眉を下げシュンとしたままの顔をしていた


何でだよ?


いつもと違うこいつの態度に慌てる、心の中の俺


「本当はこの前翔たちに聞いた時から
まさか、って思っていたの


でも、翔が記憶したメロディーと本物のメロディーが
少し違ったから、ただの偶然かもしれないって思ってしまった」


それもそのはず、あの曲は自分から人に聞かせたりしない俺だけの曲


翔だってまともに聞いたことがあるかも分からいようなレベルだろう


「あの曲、どこで知ったんだよ?」


疑い、何てそんなにない…つもりだった


でも口が反射的にそう発する


「その質問には答えられない」


「なんでだよ?」


「だって、あたし自身が作った曲だから」


絢音が、あの時の…


目の奥に潜む本心を暴くように絢音の瞳を凝視する


「信じらえないならそれでもいい。

無理に信じてなんて言わない」


俺に負けじと真っ直ぐ俺の瞳を見る絢音


信じてなんて言わない?


じゃあ、どうしろというのだろう




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