大空の唄

「な、慣れないバイトで
疲れてるだけだよ!」


そう言って誤魔化そうとすると
真っ直ぐあたしを見つめる
美咲の目に捕らえられた


「本当に?」


全て見透かされてしまいそうで
怖くて心臓が煩いほど早く脈打つ


「本当だよ!」


嘘を付くのは上手じゃないし
良い気はしないけど…


あたしは祈るような
気持ちで美咲の目を見た


………


「ふーん…そっか…

無理しちゃダメだよ?」


緊張がピークに達したとき
美咲はそう言って顔を歪めた


それが心配してくれてるようにも
まだ疑っているようにも見える


「あ、ありがと!大丈夫!」


あたしはとりあえずそう言って笑ってみる


これ以上聞かれなくてよかった…


そんな安心感と


嘘ついちゃった…


罪悪感が心の中で入り雑じる



笑顔を作るのさえどこかぎこちなくて


ちゃんと、笑えてるかな?


少し不安になった



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