傷だらけの僕等
「まだ約束がある。」

「え…?」

「約束とは言えないかもしれないけど。
声が出るまでここにいろってことに加えて、もうひとつ言った。
覚えてるか…?」


彼女は記憶を手繰りよせているようだった。

そして一つの答えにたどりつく。


『お前が話せるようになったら全部問いただしてやるよ。
だから『怪我が治る』までじゃなくて、『話せるようになる』までここにいろ。いいな?』


「思い出したか?」

彼女は頷く。

彼女をこっちに向かせる。


「勝手に出て行かせたりしない。
聞きたいことが山ほどあるんだよこっちは。」


彼女は言葉に詰まっているようだった。

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