傷だらけの僕等
「それで脅しているつもりですか?」

「なっ…。」

「予想はしていましたが…本当にくだらない人間ですねあなたは。
勝手にして下さい。
俺も、勝手にあなたのことを訴えるようにしますから。
彼女に性的暴行を加えた罪で。」

「……」

「それに…そもそも…
彼女と同棲が教師失格…というよりはむしろ…
あなたの元に置いておくこと自体が教師失格と言えますね。
あなたにとっては彼女はモノかもしれませんが…
俺にとっては…彼女がこの世で一番大切な人です。
あなたの元へは返しません。」



久しぶりに言葉に行き詰るあいつを見た。

もう何も言えなくなっていた。

そしてあたしの頭からも離れない言葉があった。


『一番大切』


その言葉があたしの頭で反響する。


「俺と理沙子の写真でもなんでも、好きに持って行ったらいいですよ。
どうせ俺の勤めている高校も調べているんでしょうから。
そこで退職処分になっても構いません。
それでは…。」


先生は最後にそれだけ言うと、あたしを抱いたまま部屋を後にした。


最後にチラッと見えたあいつは、

あたしが今まで見た中で一番小さかった。

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