イケメン倶楽部

修学旅行…




まだまだ暑い8月。




あれから先輩とは気まずいまま、ろくに会話もしていない。



あたしから話しかければいいんだけど…



勇気がわかない。





でも、このまま話さなくてもいいんじゃないかと、思ってしまう時がある。



そんな考えを頭のすみに追いだして、あたしは電話をかけた。






「…もしもし?」
「誰かと思ったら葵じゃない♪」



相変わらず無駄にテンションの高いこの電話の相手は



あたしのお母さん。



「いつ、こっちに来るの?」
「えーっと……8月の最後ぐらいかなぁ…色々忙しくって…」
「そっか。」



お母さんが勝手にこの学園に入れたのはまだ微妙に怒ってはいるけど…



結構楽しいし、今はまだこの学園をやめたいとも思わない。




だから許すことにした。



「じゃあ、またかけるから。」



そう言って、電話を切ろうとしたその時だった。



「…葵。」



急にお母さんの真面目な声が聞こえた。



「何があったのかわからないけど……自分の感情押しつぶすようなことだけはだめよ。これだけはお母さんと約束してちょうだい。」
「何…急に……」
「いいから。」
「…わかった。約束する。」




そう一言言うと、お母さんは満足したように電話を切った。






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