制服color
美術の時間

席が隣同士の私と良太くん。版画作りのこの時期、彫刻刀で削りながらお互いの近状報告をした。
「最近、裕恵ちゃんと奈々美ちゃんとうまくいってなさそうじゃん。」

「えっ、わかる?
…実はそうなんだよねぇ。」

最近の私達の事を良太くんに話した。

「男の子って、友達関係とかってあっさりしてていいよね。どろどろしてなくて…」

「あ~、そうだね。そんな事あったら気持ち悪いかも(笑)」

(なんか、笑ったの久しぶりかも)

私はどうしたらよいか自分ではわからなかったので良太くんに聞く事にした。

「どうしたらいいかなぁ…私…」

次の言葉を聞いて、作業していた手が止まった。
「えっ…」

「だから、俺達の方に来ればいいじゃん」

胸がぎゅ~と掴まれたような、目が熱くなりような、こんな感じを「切ない」とでもいうのだろうか…

良太くんは、良太くんと数人の友達と行動したらいいだろう♪という考えだった。

冷静に考えたら男の中に女1人というおかしな境遇だったが、その時精神的に弱っていた私には、涙がでそうなくらい嬉しかった。救われるような思いだった。

「それは無理だよ~」

真っ赤になった顔を隠すようにして私は心とは裏腹な返事をした。

「ツラくなったらいつでも俺達の方においで♪」

「ありがとう…なんとかうまくやってみるから♪」

(ありがとう、本当にありがとう。良太くん…)

その日の夜、思い出しただけで目頭が熱くなるような感覚になりなが手帳に日記をつけた。

あと数ヶ月、私と良太くんには変化があるだろうか…
< 18 / 37 >

この作品をシェア

pagetop