ラブ☆ヴォイス
「ホントにありがとう!あっくん大好き!」
「知ってる。」
「あっくんはあたしのこと好き?」
「…12時になった。子どもは寝る時間だ。」
「子どもじゃないー!今日から大人だもん!」
「もっと色気がねぇと大人にはカウントされねぇな。」
「…っ…じゃあ色気を磨く努力を今日からします!」
「せーぜー頑張って。」
「…もう寝るもんっ!」
「そうしろ。」
「じゃっ…じゃあ!おやすみなさい!ゆっくり休んで下さいっ!」
「なんでヘンにキレてんだよ?」
「キレてないっ!おやすみったらおやすみー!」
「…意味分かんねぇし。」
「あ、あっくん!」
「なんだよ。」
「もう1個、お願いしてもいい?」
「モノによるけど。」
「アドレス、教えて?」
「人に訊きたきゃまずはてめぇのを教えろよな。」
「じゃあ明日、ポストに入れておくね!」
「…好きにしろ。」
「好きにするっ!おやすみー!」
「…おやすみ。」

 ピッと切れた電話。あっくんの声は…誕生日だけの魔法の声。

「…いい夢見ろよな、ハタチのチビ。」

 壁の向こう側であっくんがそう呟いてたなんて、唯はもちろん知らない。
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