ラブ☆ヴォイス
「でも、昨日も言ったけど声優オタクとかホント無理だから。」
「だーからっ!あたしは声優オタクじゃないってば!」

 そこだけはどうしても勘違いしないでほしい。声優であればだれでもいいわけじゃない。

「俺、そんなに顔露出してないのに分かるとかオタク以外の何物でもないだろ。」
「あっくんが雑誌出てる時はちゃんと買ってるから分かるだけだもん!」
「うわーそういうのオタクっぽいなー。」
「だからー!あっくんだから買ってるんだってば!声優さんなら誰でも好きってわけじゃないの!あっくんだから!そこ間違えないで!」
「あっそ。じゃあ声優オタクじゃないとしてもお前はホント無理。」

 今度は別の角度からの答えだった。それでも食い下がる気はさらさらない。

「えぇー!なんで?」

「色気ゼロ、顔普通、バカっぽい。以上の理由で。」
「いっ…色気ならこれから頑張る!顔は…ちょっとどうしようもないけど…バカは…勉強する!」
「じゃ、お前が自然に諦めてくれることを願うばかりだな。お前の『イメージ』とやらを粉々に砕かせてもらう。」
「いや~!」

 もうすでに元々のイメージがかなり崩れかかってはいるけれどもとは言わないでおく。

「つーかお前方面こっちで合ってんのか?」
「うん。向こうに曲がるけど。」
「っそ。じゃー逆だな。」
「ここまで一緒に歩けて本当に嬉しかった!ありがとね、あっくん。」
「…気を付けろよ。」
「はーいっ!」


 障害ばかりの恋。そもそも女の子としてもカウントはされていない。それにイメージだってこれでもかというくらいには崩れた。手が届かないことが前提の恋。
 それが少しだけ…ほんの少しだけ変わり始めた5月の末だった。

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