ラブ☆ヴォイス
『おぉ!サンキュ!』
「空野さーん!もっとその話掘り下げてっ!」

 願いが叶い、さらに突っ込んだ話になる。

『Honey Sweet Melodyつったら超人気漫画じゃん。本屋行けばずらーっと並べてあるし。それでお前、先生役とかさー…。』
『タツだって出るじゃん。』
『おぉー何で知ってんの?』
『事務所で小耳に挟んだんだよ。大樹役だっけ?』
『そうそう!役柄上ライバルだな、俺たち。』
『ま、華音ちゃんは俺が貰うんだけどな。』

…なっ…今…なんて…?『俺が貰う』…?そこだけが異常に頭の中でリピートされる。

「言われたいーっ!あっくんに言われたいセリフがまた増えたー!」

 ベッドの上でバタバタしながら、抱き枕をぎゅっと抱きしめる。そうしなければドキドキは収まりそうにない。
 でも、何かが変だ。あっくんの声がどこか少し変な気がする。かっこいいにはもちろんかっこいいのだけれど、少しかすれている気がする。風邪でもひいたのかと、少しだけそんなことを考える。仕事も忙しいし、引っ越しもあったしで疲れが溜まっていると考えれば、それも不自然なことではない。

『つーわけで、俺と御堂が出演予定のHoney Sweet Melody、略してハニメロは7月からの放送です。』
『先生役とか結構プレッシャーなんだよなー…原作ファンも多い作品だから。』

 やっぱり、ちょっと変だ。一度気になるともうダメだ。唯は家から徒歩1分のコンビニまで走った。

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