ラブ☆ヴォイス
『てかさ、わんこには見せてんの?』
『はぁ?』

 …ま、またこの話題だ。

『わんこちゃんのお留守番の時間にラジオつけてとかはしないわけ?』
『…あのなぁ…んなことするかっつーの。』
『なんでー?ご主人様の声聞きたがってるかもしんないじゃん!』
『お前のそのぶっ飛んだ思考どうにかしろ!』
『うわひっでぇー!俺はわんこちゃんを心配してるのに!じゃあラジオ聞いてないわんこちゃんに俺からメッセージ!』
『意味ねぇことすんなバカ!』
『今日も俺、御堂んちにお邪魔するからねー!夜遅くだけど玄関で待っててくんないかな?ね、ユイちゃん?』

 どくんと大きく音が鳴る心臓。こは自分に向かって言ってるのだろうか?もしかしてあっくんに会えるのか…な?
 ぐるぐると混乱する頭をおさえる。会えるかもしれないドキドキが身体中を走る。もしかしたら空野さんにも会えちゃうワクワクも、心拍数をあげる。色々な気持ちが混ざってどうしようもなくなって、眠くなるはずの時間になっても睡魔はやってこなかった。
 自分の家の玄関でうずくまりながら足音だけを待つ。さすがに6月頭の夜はまだ少し寒い。2時を少し越えた頃、二つの足音が近づいてきた。ゆっくりと玄関の扉を開ける。

「あーホントにいてくれた!」
「…タツのバカ話なんか真に受けるなよ…。」

 楽しそうな声の空野と、呆れ声のあっくんの声がほとんど同時に重なった。
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