ラブ☆ヴォイス
 ぐいっと腰を引かれて、ひとまずは床に崩れ落ちずに済んだ。

「おい、大丈夫かよ?」
「え…?」

 声に導かれるままに振り向くと、ほんの12センチ横にあっくんの綺麗な顔。その両目は確実に唯を捉えている。

「ちちちちちち近いっ!」
「暴れんなチビ。」

 あっくんは腰に回った手を緩めてはくれない。ふらつく身体にはありがたいけれど、この距離はドキドキが止まらない。

「とりあえずベッド降ろすぞ。」
「はっ…はいっ!」

 あっくんがゆっくりと唯をベッドの上に降ろす。ベッドの上に腰かけても頭のぐわんぐわんとした感じが抜けない。

「…病気じゃねぇから安心しろ。お前のはただの二日酔いだ。」
「二日酔い…。」
「そんな量は飲んでねぇんだけどな。ま、未成年に飲ませたあいつが悪い。」
「あ…えっと達也さんは…?」
「あいつはお前がダウンしたら帰ったよ。」
「そ…そうなんですか…。」
「なぁ…お前。」

 あっくんが怪訝そうな顔をしてこっちを見ている。…な…にかしちゃったかな、あたし。ってあっくんの家に泊まっちゃったのか!それは確実に迷惑をかけてしまっているわけで…。
< 49 / 396 >

この作品をシェア

pagetop