ラブ☆ヴォイス
 あっくんの手が食器に手を伸ばそうとした唯の腕を掴む。

「え…?」
「気、遣いすぎ。あんだけの悩み相談でそこまで要求するほど俺は心が狭くない。」
「…心狭いだなんて思ってないよ。」
「そーですか。」

 …出た、あっくんの必殺技。『超棒読み』

「あ、ありがとね、あっくん。話聞いてもらえて落ち着いたし、光ともちゃんと顔、合わせられそう。」
「そうしてやれ。」
「じゃあ、ゆっくり休んでね。またご飯が必要な時はいつでも呼んでくれていいよ?」
「…考えとく。」
「やったぁ!和食の勉強しておきますっ!おやすみなさいっ!」

 そこまで言い切って、唯はそっとあっくんの家のドアを閉めた。…ドキドキと心臓がうるさい。うるさい理由は分かっている。
 自分の腕に触れた手。否定されなかった望み。もしかしたら次があるかもしれない期待。

「…あっくんだけなんだよ。」

 ちっちゃい言葉でこんなに嬉しくなって、世界一幸せな女の子になれちゃうのは言葉をくれる相手があっくんだから。

「和食の勉強っ!」

 唯は家に入るなり、和食料理のレシピ本を探し始めた。
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