月花の祈り-宗久シリーズ小咄3-
新しい光
次の日、帰らないといけないと告げた僕は、先輩方家族に引き止められた。




「もう少し、ゆっくりしていって下さいな」


薫さんの言葉は有り難いと感じたが、出来る限り早く戻るのが妻との約束であった。


急かされてはいないが、僕にも家族がいる。



それに………。







僕は、残念だと目の前で語り合う家族を見つめた。






僕が訪れた時とは違い、自然な笑顔を取り戻した家族。

貴志君が愛する家族。






彼らを見ていると、僕も早く家族に会いたいと願う事は自然ではないかと感じる。



僕の愛する家族に。






「ねぇ、おじさん」


荷物を下げ、赤島家の人達と挨拶を交わす僕のコートの袖を、舞ちゃんの小さな手が引いた。



「何だい?」

「今度は舞が、おじさんちに遊びに行ってもいい?」



大きな瞳で僕を見上げ、遠慮がちにお願いをする舞ちゃん。



ああ、女の子もかわいいなぁ。

男の子には無い愛らしさがある。





「いいよ、今度は舞ちゃんが遊びにおいで。待っているよ。お父さんとお母さんと一緒にね」

「うん!」





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