-短編集-『泡雪』
「2番線の電車が、雪のため、遅れております・・・」

ホームに、駅員のアナウンスが流れる。

このまま、電車なんて来なければいい。
そして、ここで私は凍えてしまえばいい。
帰るところなんて、ない。

それなのに、ここにいる私。

実家にも、いない、
駅にもいない、

そうしたら、彼は探してくれるかな。


誰もが、雪風の届かない階段の下で、
来るか分からない電車を待っている。

だけど私は、あえてここで電車を待つ。


もう、寒さも感じないくらい、体温が奪われてしまえばいい。


――でた、自暴自棄。

私に、昔からある、自殺願望。



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