維新なんてクソ食らえ後始末が大変でしょ。浅木の巻
藤田は視線をそらした。
タバコに火をつけると、診療所のふすまが所々ひどく破れているのを見ながら


「アヘンの毒を抜くのに骨が折れたみたいだな」


藤田の部下が奥の部屋から引きずり出すように患者を運んできた。


「先生……」


患者がうつろな目をしてつぶやいた。


浅木はその警官の肩に手をかけた。


その腕を藤田がつかんだ。


「新米医者殿いいことを教えてやろう。警察は患者の診察のじゃまはしない。
診に来たければくるがいい。
ただし、こちらが治療費を払うことはないがな」


昔ながらの斎藤らしい言い方だった。


浅木は警官の肩から手を離した。



患者は荷車に積まれて収監施設へと運ばれていった。


浅木はその姿を見送った。

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