維新なんてクソ食らえ後始末が大変でしょ。浅木の巻
「お前は不満が無いのか」

剣を受けながら氷雨が言った。

「どうだ俺たちの仲間にならないか。お前の腕なら、直ぐに幹部にしてやるぞ」

「断る。俺は刀を捨てたのだ。医者になった今、人は殺さない」

二人は離れた。

「どおりで、剣にためらいがあるわけだ。だが、これから俺のじゃまになることは間違いないようだな」

と、氷雨が言うと腰を落とした。

「瞬歩」

というかけ声と同時に氷雨が浅木の懐に飛び込んできた。道場で受けた小春の技より数段早かった。

浅木は吹っ飛ばされて部屋の壁にしたたかに背中を打った。急所を外したものの深手を負った。

浅木は木刀を杖に立ち上がった。

氷雨はニヤリと笑った。

「急所だけは外したか。今度で終わりだ」

氷雨は浅木に再び瞬歩を放った。また、浅木は吹き飛ばされた。

「止めてお兄ちゃん」

小春が氷雨の腰にしがみついた。

「うるさい」

氷雨は小春を思い切り足蹴にした。当たり所が悪く小春が気を失った。

浅木が起きあがりながら、小春が倒れているのを見た氷雨を睨んだ。

「お前何をした」
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