チョコレート・キス
第三章 俺にだって思うところはあるわけです




氷沙の気持ちが分からないわけでもない。

昨夜今にも泣き出しそうな顔で自分を睨んだ少女を思い浮かべて、空を仰ぐ。
2月の空は高く、透明な青色だ。

でも、

「……この坊ちゃんの気持ちも分からんでもないから厄介やねんなぁ」

「って坊ちゃんって俺のことかよ! ふざけんな楓!」

< 33 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop