悪魔? or 天使?(上)




「美玲ちゃんは…本当にお母さんのコトが大好きだったんだね」


そう言われて初めて気づいた。


あたしがこんなに過去のコトを引きずっているのは、

やっぱりそこに原因があるんだろう。



「…そうかもしれない…恨んでる部分もあるよ?

何であんな時に生んだんだ、とか。

父さんが赴任する前に生まれていたら、

あたしは幸せだったかもしれないのに…とか」



あの人はあたしを連れて行ってくれなかった。



あたしはこんなにあなたを想ってるのに。



きっと…あたしも同じように恨まれていたんだろうなぁ…



似たもの同士、喧嘩もたくさんした。



だけど、幸せな時期だってあった。




あの人の笑顔、匂い、優しさ。



それに比例するように


憎しみ、憎悪、恨みも感じた。



愛したいのに、愛せない。



それはあたしもあの人も同じ。



きっと二人とも不器用なんだ。




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