いちばんの星 -side episode-


先に口を開いたのはラナだった。



「今日、ミュリエルと話したんです。とても…幸せそうだった…」

「そう…」



ラナは、スティークをじっと見つめた。



私も…ミュリエルのようになりたい…



でも…



「本当によかった…ふたりがうまくいって」

「…そうですね」



今は…少しでも長くこの時間が続けばいい…



少しだけ、ほんの少しだけラナはスティークとの距離をつめた。



「月、本当に綺麗ですね」

「ああ…」



君も十分綺麗だよ…



普段なら女性にこういうのに…



しばらくの間、ふたりはだまったまま月を眺めていた。
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