いちばんの星 -side episode-


スティークの言葉を聞いた瞬間、ラナの心の中で何かか割れた気がした。



堅くラナの心を縛っていたそれは、スティークの言葉で一瞬のうちに消え去った。



「スティークさまっ…」



そのままラナはスティークの背中に腕を回し、しっかりとその温もりを感じるように体を寄せた。



スティークもまた、これまで以上にその体を抱き締めた。



「ラナ……これから大変かもしれないけど、ふたりで乗り越えよう」



もう離れたくはないから…



「俺の側に…ずっと俺の側にいてほしい」

「スティーク様…」



その時初めて、ラナは心の底から幸せだと感じた。



自分には…この人しかいないのだと……



「…はい……」



スティーク様…あなたは私の、運命の人です……



< 89 / 107 >

この作品をシェア

pagetop