にじいろ奇跡

職員室でも、たくさんの先生方から労いのお言葉を頂いた。


私の事は私が思っていたよりも騒動となっていたらしい。


学校側にも新聞記者やﾃﾚﾋﾞｽﾀｯﾌさんなどたくさんの来賓の方が、私とルリの事を聞いて来たらしい。


結構、迷惑をかけてしまった様だ。


「すみません。先生。ご心配おかけしまして」

「いやいや。気にしないで。君も大変だったね」


校長先生からはそう言われて、本当に恐縮だ。


ふと時間を見ると、もうすぐSHRが始まる。登校してすぐにｻﾎﾞりなんか、私はしたくない。


「校長先生、もうすぐ時間なんで教室に行っても宜しいでしょうか？」

「もうそんな時間かい？じゃぁ、野沢さん。こちらもできるだけ対処していくよ。安心して勉学に励みなさい」


校長先生は私の肩をｶﾞｯﾁﾘと掴んで叩くと、私をやっと解放してくれた。


（校長先生とお話だなんて、私初めてしたよ･･･）


滅多に出来ない貴重な体験だ。でも今はそんな事よりも早く教室に行きたい･･･


教室に行って、郁人と優に会いたい･･･。私の思いはそれでいっぱいだった。


（でも･･･）


郁人は優は･･･私を受け入れてくれるだろうか？


“黒月沙夜”としての私ではなく


“野沢沙夜”としての私を受け入れてくれるだろうか。


１番の不安はそこにあった･･･。今まで２人は“黒月沙夜”の私として付き合ってくれたのだ。


そこからいきなり私は養子の筈が実娘だったのだ。そんな私を受け入れてくれるだろうか･･･。


不安と期待が入り交じる。葛藤が続く。


（行かないと･･･分からない事もある。行ってみよう。優だって優しいから･･･きっと大丈夫）


私はそう思いながら自分の教室へ、久しぶりに足を踏み入れた。


「皆おはよう!!久しぶり!!」