にじいろ奇跡
私は食器類を片付け、空いている時間を使い勉強を済ませた。


うちの学校のレベルは低い方だから、簡単にで大丈夫だ。


ルリのように学校にいけないのでは無いのに、出来ないと嘆く皆が分からない。


お風呂からあがった私は、家の電話をとった。ルリに電話するなら家の電話が丁度良い。


ケータイは電池がもたない。押し慣れた番号を押してルリが出るのを待つ。


『もしもーし。サヤ?』

「やほ。ルリ」


やはりルリに会えなくなると、物足りなくなる。


『サーヤ!会えなくて寂しいよ!!』


ルリの泣きそうな声に、今のルリの顔が目に見えるようだ。


罪悪感が生まれた。ルリが言うとこっちまで辛くなる。


「ごめん・・・体調が悪くてさ。郁人とルリがイチャイチャしてる間に帰っちゃった」


嘘。本当はルリと郁人がイチャイチャしてるのを見て、辛くなっただけだった。


『体調悪かったの!?大丈夫?』

「うん。もう平気」

『そっか・・・良かった!サヤが体調崩すとか、本当に珍しいよね・・・』

「そう?」

『うん』


私達はそこから、学校であった出来事やテレビの話で凄く盛り上がった。


ルリとの会話で優の事を忘れていった。


でも時間は止まらなかった。


私は程よくなった所で、電話を切り布団に潜り込んだ。


その頃には既に頭から優の事は消えていた。
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