にじいろ奇跡
13章
午後には太陽の日差しも大分和らぎ、心地よい温度になった。


・・・が。


(ね、眠い・・・)


ご飯を食べて満腹状態でこの心地よさは睡眠へと誘う。


周りを見れば、既に机に顔を伏せて寝てしまっている人達も見受けられた。


加えて今の授業は現代文だ。先生が教科書を読む声が子守唄に聞こえてならない。


特待生でこの学校に入学している私は、先生に注意を受けたり校則を破ったりすれば、特待生の権限が没収されてしまう。


それは私にとって非常に困るわけであって・・・。
睡魔と戦う時間がやってきた。


「ッ・・・」


首が重い・・・瞼が重い・・・意識が無くなりそう・・・。


必死に対抗するがコレでは寝てしまう。


(ヤバい・・・もう駄目・・・)


その刹那。


バコンッ!!


「ッ!!いったぁぁ!!!!」

「黒月!!!!」

「す、すみません!!!!」


先生に教科書で叩かれた。角が入ったらしく、地味に痛い。


周りの生徒は目が覚めて起きたのか私を見ながら笑う。


羞恥心に顔が赤くなるのが分かる。


(寝てたのは私だけじゃないじゃん!!!!)


心の中でそう思いながら、姿勢を正す。


前に座っている郁人私を振り返って見る。御愁傷様と手を合わせながら笑っている。


(お前モロ寝てたじゃん!!!!イビキかいてたの何で先生は気付かないんだよ!!!!)


心の中では叫びまくりだった・・・。


「黒月、明日の朝職員室来い」


出席簿に書き込みながら先生は私を見つめて言った。


「・・・はい」

(私だけなんて・・・)

「あと西村。お前もだ」

「ゲッ!?」

「イビキまでかきよって。鳴海先生にも報告しておくからな」

「ゲーー!!!!」

(ざまぁみろ)


郁人の叫び声に私はバレ無いように口元を歪ませていた。肩の震えは仕方ない。
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