にじいろ奇跡
「ルリ、ありがとう・・・」


何時も何時もルリには、助けて貰ってばかり。ルリは優し過ぎる。

ルリを頼ってばかりで、私はルリの力になることも出来ない。


何故優しいルリが、難病を患わなければならなかったのだろう。


ルリには、ルリを心配してくれる人達がたくさんいる。


おじさんやおばさんも、ルリを救いたい一心で、多額のお金を払っているらしい。


いっそのこと、私だったら良かったに。私なら良かった。


私は両親が居ない。兄弟も居ない。否、私は両親や兄弟の顔を知らない。


物心つく頃には、施設で育っていた。


私は赤ん坊の頃、施設に預けられたのだと聞いた事がある。


すなわち、私は両親から棄てられた子供なのだ。


「サヤ、今日は雨が降ってたけど、傘はちゃんと持ってた?」

「もちろん。いくらドジな私でも、ちゃんと傘は持って行きました!」

「良かった。ずぶ濡れで学校に到着して、笑われたかな?ってヒヤヒヤしてたの」

「いやいや、いくら私でもそれはないよ!!」


ルリの話はいきなり飛ぶ。


そして大体が私にルリに学校の話を聞いて来るから、私がルリに答える事が多い。


時々、学校の宿題を此処でやりながらルリに勉強を教える事もある。


その合間に冗談を言い合ったりする。ルリはこの時間が1番好きなのだと話した事がある。


当然かもしれない。病室は個室で看護師さん達も忙しい為に、ルリは一人ぼっちなのだから。
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