愛しのマイ☆ドクター
『せーんせっ!』



物思いに沈んでいるところに

いきなり肩をたたかれて

僕は飛び上がりそうなほど

びっくりした



中庭のベンチに腰掛けていた僕に

後ろからやたらと元気な声で

話しかけてきたのは

もちろん美羽だった



『美羽ちゃんこんなところで何してんの?』



思わず関西弁が

出てしまった



『だって次の検査午後3時からって言われて

それまでヒマなんだもーん

散歩くらいしたっていいじゃん

だいたい先生こそ何してんの?

この時間って外来じゃないの?

あー

もしかしてサボり?

お医者様でもそんなことするんだ?』



『あっ あぁ・・・ いや・・・

あの・・・ ちょっといろいろあったから

少しだけ休憩してただけ』



『ふうん・・・

院長先生にチクっちゃおうかなあ』



美羽は

いたずらっぽい

笑顔を浮かべていて



それがあまりにも可愛くて

僕の気持ちをいっそう重くした
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