忘却は、幸せの近道
「間に合ってよかった。」


卓が本当に安心してるのがわかる。


「けど、卓、どうして?」


「なんでだろう?
イヤな予感がしたんだ。
一瞬だけど、この世界に梨依がいないみたいな感じがして。
そしたら、走り出してた。
病院にいるってのに。
なりふり構わずに。
けど、病室に梨依がいなかったから、イヤな予感が的中したかと思って焦ったよ。
そしたら、考えずに屋上に向かってた。」


なんだろう。


幸福感って言うのかな?


なんか満たされてる。


この人のそばで幸せになりたい。


私を救ってくれる唯一の存在なんだ。


「ありがとう。
屋上に来たら、飛び降りたくて仕方なくなった。
ドアを開ける前までは、そんなことなかったのに。」

「俺がいる。
だから、いなくならないでくれ。
俺が生きてけない。」


卓、泣いてる?


私の大切な人なのに。


私が泣かせてしまった。


私は、生きていいんだ。


さっきまで聞こえてた声が聞こえなくなった。


もしかして、私の弱さのせい?


私があいつを作り出していた?
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