忘却は、幸せの近道

ホントの気持ち

私が、卓と春奈さんと病室に戻るとみんながそわそわしながら待っていた。


私の顔を見ると安堵していた。


私は、みんなを見つめるだけでどうしたらいいかわからなかった。


『安心して、記憶が戻ったよ。』


こう言ったら、記憶が戻るのはよかったけど、イヤなことを思い出させる。


全部言わなきゃいけないのにわからない。


でも、伝えなきゃいけない。


私は、前に進むことを。


立ち止まってなんかいられない。


今こそ、私の気持ちを伝えるべきなのだろう。


逃げてきた自分にさよなら。


大丈夫。


卓がいるんだから。


いっくん、沙奈ちゃん、トーくん、もっくん、せんちゃん、実依ちゃん。


いつも心配してくれてありがとう。


感謝とともに謝罪をしたい。


私が、原因をつくってしまったから。


始まりは、私の嘘からだった。


みんなのためとか思いながら、逃げたのは私。


みんなは、何も悪くない。


悪いのは、私。


最低な私。


今度こそ、すべてを話すから。


受け止めて欲しい。
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