忘却は、幸せの近道
「梨依ちゃんにとって、私たちといることは、苦痛にしかならないから。
あの時、助けてあげれなかった私たちが、今、助けてあげられるのかな?」


実依。


そうだよ。


もう助けを求めたいと思わないんだよ。


「あの時が無理だったから、やり直したいんじゃないか。」


せんちゃん。


「それは、自己満足でしょ?
あの時の罪悪感を消したいだけでしょ?」


実依。


やっぱ、姉妹だ。


私が言いたいことを実依が言ってくれる。


「違う。」


「違わないよ。
梨依ちゃんを傷つけることしかできなかったのに、助けれるはずない。
梨依ちゃんを助けることができるのは、伊藤先輩だけだよ。」


実依も後悔してるんだ。


だから、私のしたいようにさせたいんだ。


実依も大人になったって事かな?


大人ってより、女かな?


私と卓のことを必死で応援してくれてる。


すごい嬉しい。


「そうだったとしても、家を出るのは許さない。」


いっくん。


「私、いっくんの許可なんて求めてないよ。」


私は、冷たく言い放った。
< 115 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop