忘却は、幸せの近道
後少し。


後少し。


私は、ゆっくりドアを開けた。


「梨依?」


誰かが私の名前を呼んだ。


私は、気づかないフリ。


一呼吸をついてから、『ごめんなさい。』そう呟いてから、ドアを勢いよくしめた。


ここの病院は、よく知ってる。


私は、一目散に屋上に向かった。


誰にも邪魔されないように少しだけ遠回りをしながら。


もうこの世界には、いられないから。


だから、死ぬという選択をするわがままを許して。


逃げたくなんてなかった。


みんながいるから大丈夫だって。


けどね。


もう頑張れない。
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