ささやかな奇跡
時を止めた二人の目の前で、幼子はどんどん成長していく。
散りゆく桜の花びらに手をのばしたり、高耶の後をちょこまかとついて歩いたりしていたのが、あっという間に慈尊の背を追い抜いて、気がつけば、すっかり娘らしくなっていた。

二十歳前半にしか見えない高耶と、十五になったばかりの蓮が、寄り添い庭を歩く様は絵のように美しい。
我知らず見とれていた慈尊は、複雑な思いで目を逸らした。
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