―百合色―
でも俺はギュッと我慢をした。


『百合?』


今は君の名を呼ぶ事しか出来ない。


百合が言った次の言葉が、
俺が生きてきた中で、

一番印象的な言葉だったんだ。



『だって光輝が好きなんだもん!』



……………。



何言ってんの?


いきなり、しかもこんな時に。



『百合…何言ってんの?
冗談だろ?』


俺は驚きを隠せず、
もう一度百合に確認した。


桜の緑の葉っぱが、
ユラユラと音を出しながら揺れる。

それと同時に、
百合の長い髪がなびいて、シャンプーのいい香りが、俺の鼻の中に入る。


緊張感が更に増す。


桜の木が俺で遊んでいるみたいだ。



『冗談でこんな事言うと思う?本気だよ…』



ドクン…ドクン…


俺はそろそろ限界かもね。
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