―百合色―
『勿体ぶらすなよ!』
『光輝、隠し事はなしだぜ?』


『……っ……』


こいつらには一生勝てない気がする。


俺は、タクミと疾風に、
少しだけ教えた。


『百合を、好きになりすぎてる』


ってね。これ以上は言えるかよ。



『んだそれ。結局のろけかよ』


『ははっうぜ─よ』


俺は再びこの空を眺めた。

両手では掴めない、
この大きな空を、


ずっとずっと見ていた。


そして思い出す─…
あの日の事を─…


時間さえあれば思い出している。


あのキスを─…


あの大きな月を─…


そして、あの百合を─…



……一ヶ月記念日の日……


『光輝…』


俺達は暫くキスを繰り返し、二人の世界へといっていた。
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