―百合色―
~第十一章・約束~
百合とさよならを告げた瞬間から、一気に心が冷たくなった。


俺は、まだ自分に甘かったのかもしれない。


百合に会える、
百合の笑顔が見れるという望み、希望があったから。

百合がこの街からいなくなるなんて、想像もしていなかった──………


──…翌日、俺は学校を休んだ。


風邪が、また俺を襲ったからだ。


病原体が、俺の中を蝕んでいく。


前よりは楽なのだが、
なぜか気分がのらない。


体がだるい。


俺はリビングへ行き、
救急箱から風邪薬を出す。

『どれだ~?』


でも風邪薬が見当たらない。

昨日はあったはずなのに。

『あっ…』


俺は重要な事を忘れていたようだ。


昨日で風邪薬が最後だったのだ。


『くそっ…』


俺は救急箱を思いきりしめた。
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