priere (プリエール)
「わかった・・・。もう、いい。わかったから。」





「・・・ごめん。」





「このお金・・・いらない。じゃーね。」





封筒を悠久の前に置くと





私は店を出た








すると・・・





店の前の植え込みの囲いに





美穂が座っていた





私と目が合うなり





ニヤリと勝ち誇ったような笑いを見せる





私はまたしても怒りの衝動に突き動かされ





美穂の頬をピシャリと叩きつけてしまった








美穂は一瞬驚いた表情を見せたものの





次の瞬間には





フフッと笑いをこぼした





道行く人々の痛い視線を受けながら





その場を後にした








決して振り返らない





振り返ればきっと





美穂の肩を抱き慰める





悠久がいると思う





そんな姿・・・





見たくない





私はひたすら前だけを見据え





歩き続けた







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