Heavenly sky-あたしと君に残された日々-





「なに?」


キーキーうるせぇ。


仕方ないから耳を傾ければ、


「顔が良いからって、何しても許されるわけ!?」


何だよ、くだらねぇな。


俺はフッと笑うと、彼女に背を向けひらひらと手を振った。


「あんたには言われたくねぇよ」


―――そう、言葉を残して。



少し足を進めた後、


「なに、まさかお前も陽菜ちゃんラブ?……ははっお姫様はモテるなぁ」


風に流れて、稲葉のそんな言葉が聞こえた気がした。


久しぶりに人を殴った感覚は、少しの間消えそうにない。


軽く視線を落とし、自分の拳を見つめる。


少し、夢中になりすぎた。


こんなにも周りが見えなくなるくらい殴ったのは陽菜のため?日向のため?それとも―――…




それはきっと、自分でも分からない。



< 744 / 841 >

この作品をシェア

pagetop