COLORS【藍】 藍暖簾 (with響紀様)

 「藍子しゃん、さっきの続きだけどな」

 「勘弁してくださいな。アタイは誰とも相手にはしないよ」

 「まぁまぁ、折角この場に揃ったんだ。話くらいしたらどうだね」

 「何処に誰がいるって?」


 男は、今隣に座った笹部くんの腰を持ち立たせた。


 「この笹部っちこそ藍子しゃんに引き合わせてあげたい男だよ」

 「えっ!? 如月さん、一体何のお話ですか?」

 「いやだよ。からかうにも程があるだろうよ。アタイはこの坊っちゃんからみたらいいオバサンだよ」


 オバサンにはみえないが、かなり歳が離れているのは確かだな。


 「オバサンなんかじゃないです。……可愛いですよ」


 湯気を出したリンゴのような顔でポツリと答えた。


 「あら、若いのにお世辞が言えるなんて大した人だね」

 「お世辞なんかじゃ……」


 歳が離れていても所詮男と女。

 カウンターを間に一枚隔てているとはいえ、たかが知れた距離。

 二人が恋に落ちるまで時間は掛からなかった。

 テツにしてやられた感じだが、人生とはそんなもの。

 何が起こるか分からないから面白いというわけだ。




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