社長のご指名
部屋に戻って開ければ、手紙とビデオテープが入っていた。





ラベルシールは貼ってあるのに何も書かれていない。





「見る?」


「うん………。」





ビデオテープを持った朔夜に続き、リビングに行く。





紗衣を膝の上に座らせ、再生するのを待つ。





『写ってる?』


『ええ、バッチリよ。』





再生され、テレビ画面に映ったのは会いたくて堪らなかった人。





修一の姿を見た途端に、涙が流れてしまった。





もう二度と会えない人が真っ直ぐ正面を見てる。





心臓が煩く鳴り響き、涙が次々と流れ出る。





『えーっと…章菜へ。うわっ、恥ずかしいな…。』


『テープが勿体ないわよ。』


『わかってるよ。………よしっ。章菜へ。まず、拒食症なんて嘘ついてごめん。』





恥ずかしくなったら手で目元を覆う姿も、ガッチリと手を膝に置いて頭を下げて謝る姿も懐かしい。



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