ひとりがさみしいなら
麗ちゃんが?
あたしの演技を・・・・・?

「聞いたわ、南萌香の演技は最強らしいわね。
実力、たっぷり魅せてもらうから」

・・・麗ちゃん。

あたし、ずっと会いたかった。

麗ちゃんに―――――・・・


〔やめてナツ!嘘よ全部!!〕


いつにも増して緊張した。
でも精一杯台本の台詞を読んだ。

このシーンは、ヒロイン・モモ役のあたしと、サブヒロイン・ナツ役のゆいちゃんの喧嘩のシーン。
うまくやらなきゃ。


〔嘘っていう証拠はあるの!?ないんでしょ!!?〕


ゆいちゃん、やっぱ上手い。
むかむかしてる表情とか、すっごく自然体。

「カット!!萌香ちゃんもゆいちゃんもいいねぇ!!
じゃあ、少し休憩していいよー」

監督の言葉に、あたしは自販機に向かった。






「やっと会えたわね、萌香ちゃん」





ドクン・・・。
この声・・・・・。


「・・・麗ちゃん・・・!!」
「会えてよかった、会いたかったわ」
キュン・・・♥
「あ、あたしも・・・会いたかった!!」

「萌香ちゃんの演技を見に来たのもそうだけど、萌香ちゃんに会うために来たのかもね、私」

・・・え。
まじで・・・!?

「それに相当嫌われてるみたいじゃない、羽月ゆいに」

うっっ!

「はは・・・なんでだろーね・・・」
「たぶん、モモ役のあんたの演技が上手すぎてるから妬いてるのね」
妬く!?
「そんな・・・ゆいちゃんのほうが全然上手いと・・・」

「私は、萌香ちゃんのほうが全然上手いと思うけどね」

え・・・・・。
でも・・・

「帰るわ、仕事つまってるし。
またね、萌香ちゃん」

萌香ちゃんはあたしに投げキスして帰ってった。
< 4 / 100 >

この作品をシェア

pagetop