群青ノ春
「待って…っ!
…下さい」
「うお、どうした?奈緒チャン?」
陽登の腕にはスタッズの付いたラバー製のアームバンドやらゴツい時計やらが付いていた。
―恩田さんの手だ…大きい―
バクバクした。
全身が心臓じゃないかと思うくらいバクバクした。
「恩田さん、ア、アドレス。
あの、アドレス教えて下さいよ!」
すでに全身の熱がスーっと冷めて青ざめていた。
しかし呼び止めたからには、出来るだけ極さりげなく『今時当たり前』風を装って思い切って聞いた。
「あっはは!いーよー!奈緒チャンにだけ特別ね!
流出しないでよ!」
奈緒の緊張を他所に、陽登はあっけらかんとした感じであっさりアドレスを教えてくれた。
「スプリングハイフン、数字の十だから。
もしかして俺に惚れた?
やだー火傷するよ〜!
うひゃ〜じゃねん。」
陽登はニヤニヤと笑い、後ずさりしながら校舎の入り口から出た。
デッキをリュックから下ろして、スケートしながら颯爽と帰っていった。
奈緒は今でもこの日の事を鮮明に覚えている。
派手な柄のキャップを後ろ前逆にかぶっていた事もあるのか、
意外とやんちゃで可愛い人だなと思った。
その日から少しずつメールのやり取りをするようになり、
次第に電話もするようになって、
夏休みが明けようとする頃、二人は『恋人』になっていた。
…下さい」
「うお、どうした?奈緒チャン?」
陽登の腕にはスタッズの付いたラバー製のアームバンドやらゴツい時計やらが付いていた。
―恩田さんの手だ…大きい―
バクバクした。
全身が心臓じゃないかと思うくらいバクバクした。
「恩田さん、ア、アドレス。
あの、アドレス教えて下さいよ!」
すでに全身の熱がスーっと冷めて青ざめていた。
しかし呼び止めたからには、出来るだけ極さりげなく『今時当たり前』風を装って思い切って聞いた。
「あっはは!いーよー!奈緒チャンにだけ特別ね!
流出しないでよ!」
奈緒の緊張を他所に、陽登はあっけらかんとした感じであっさりアドレスを教えてくれた。
「スプリングハイフン、数字の十だから。
もしかして俺に惚れた?
やだー火傷するよ〜!
うひゃ〜じゃねん。」
陽登はニヤニヤと笑い、後ずさりしながら校舎の入り口から出た。
デッキをリュックから下ろして、スケートしながら颯爽と帰っていった。
奈緒は今でもこの日の事を鮮明に覚えている。
派手な柄のキャップを後ろ前逆にかぶっていた事もあるのか、
意外とやんちゃで可愛い人だなと思った。
その日から少しずつメールのやり取りをするようになり、
次第に電話もするようになって、
夏休みが明けようとする頃、二人は『恋人』になっていた。