それは多分、とびきりの
「……贅沢、よね」
 不意に彼女が呟いた。
「贅沢?」
「うん」
 ふふと笑い、彼女は続ける。
「青い空に、澄んだ水の音。優しい色の緑に囲まれて、ぼんやりできる時間」
 贅沢だと思わない? と問われ、僕は数回瞬きした。
「ずっと気になってたの。仕事とか、しなきゃいけない事に追われて空を見る暇すらない毎日でお疲れの瞬君が。だからたまにはこんな時間の過ごし方も良いと思って」
 それに。
 彼女は僕の肩にそっと頭をもたげた。
「好きな人がそばにいてくれる時間。一緒にゆっくり出来る時間。同じ風景を眺められる時間」
 左肩に寄り掛かる温もりが愛しくて、胸の中で小人がトクトクとリズムを刻みだす。
「これって、どんなお洒落で豪華なディナーより、とびきりの贅沢だと思わない?」
 そう言って、彼女は白い花びらが開いていくような笑顔で僕を見上げた。


 彼女には敵わないな。
 そう、思った。
 そして同時に。
 何気ない幸せを大切に出来るこの人とずっと一緒に居たいと、この人と同じ時間を刻んで行きたいと。
 そう思った。




《Fin》


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