tokimeki*train
涙目になりながら、隣を見ると、競馬新聞を持ったオヤジがひとり。
コイツかな?
でも、声が出せない。
どうしよう。
すると、薫くん達の話す声が。
「見ろよ。あの子、痴漢にあってるぜ」
「助けてやれば? いつも薫の事見てる子じゃん」
「やだよ。面倒臭い。それにタイプじゃないし。オレは胸デカフェロモン系のお姉さまが好みだし」
「鬼畜ぅ。きっとあの子にも聞こえてるよ」
「いいんじゃねぇ。叶わない夢見続けるより。それに鈍くせえ女」
乾いた笑いを含み、私にも聞こえる会話。
車内の他の人にも聞こえてるはず。なのに誰も助けてくれない。
聞こえて来た会話もショックで涙目になりながら、とにかく次の駅に着く事を祈った。
でも、痴漢はエスカレートしていく。
もうすぐ、スカートが捲られちゃう。
目をギュッとつぶったその時、