tokimeki*train
「オレ達も降りよう」
クマさんは、私の手を引いて、薫くん達が逃げ降りて行ったのと同じ駅で降りたけど、もう彼らの姿はどこにもなかった。
私を近くのベンチに座らせると。
「ちょっと待ってて」
彼は自販機まで歩いて行って、私にはココアを、自分にはコーヒーを買って戻って来た。
「はい。これ飲んで落ち着こう」
ベンチに座る私の前に立ち、屈んで顔を覗き混んで心配そうに見つめてる。
未だに涙目の私を気遣ってくれてるんだ。
「ありがとう」
私は小さいけど、ちゃんとお礼が言えたかな。
クマさんはニコッと笑うと私の横にそっと座った。