二度目の恋

「おはよう！」


朝はいつもおばあちゃんの声が耳に入る。
私には両親がいない。
理由は言ってくれなかったから、私も聞かないでいた。
でも、本当の事を言うと怖くて聞けなかった…。

けど今なら解るんだ…。
私は捨てられた。
まるでゴミのように呆気なく。


「お…おはよー…」

「おはよ！」


そして私には2上の兄がいる。
一人ならまだしも、私の両親は二人も捨てた。
今はこうして暮らしているけど、私は少しの間お母さんの実家にいた。
別々に暮らすそうといことになって私はお母さんのほうに行ったんだ。

でも、行って後悔した。
言葉で言うと、“地獄”だった。
辛いってもんじゃない苦しかった。

小学生の時はよく解らなくて何も思えなかったけど、今になって時々思うんだ。どうすればこうならずにすんだのか今になって考えるようになった。

戻れる訳無いのに、願ってしまうんだ…。
また四人で一緒に暮らせたらって。


「行ってきます！」


無理矢理朝ご飯を食べさせられ、学校に向かった。
空が晴れているということだけで足は軽く気がつけば学校についていた。
まだ享弥が来ていない事を確認すると席につきまた今日も外を見た。

少しずつ教室の中に、皆の声が聞こえてきた。
“おはよう”とか言い合ったり昨日のテレビの話しをしている。


「あっ…」


さっきまで晴れていたのにいつのまにか暗くなってきた。
少しだけ開いていた窓の透き間から土の匂いがした。朝は晴れていたから傘がないと考えていると隣から、“ガタッ”と聞こえた。


「おはよ…」


振り向くと始めて享弥から、話しかけられた。
ま、と言っても挨拶だけだけど…。


「お…おはよ…」


なんとなく照れ臭いから、言い返すのをためらったけれど無視は悪いと思って一様返事をした。
しばらくまた沈黙が続いて何も言う事もなく時間だけが過ぎていった。

まだ友達と言える関係でもないから、必要以上の事は話さないということが当たり前だと思っていた。
でも私もそれで良いと思えた。
話す事は少なくても少しずつ私は君と話せている。
気付けば、それだけでも嬉しいと思えた。