二度目の恋
「どうした?」


何も話しだそうとしない私を見て享弥は優しい言葉を言った。
この時の何気ない享弥の優しさが私を“ドキッ”っとさせたこと今でもはっきりと覚えている。


「ここが解らなくて…」


少し戸惑いながら私は問題が書かれたノートを見した。
“私が言った言葉覚えてないの?”ってぐらい享弥は普通だった。
完全に理解が出来た訳でもないけど、一通り教えてもらうと享弥はまたえんぴつを動かした。


「あ…ありがとう…」


何秒かたったあと私はぎこちなくお礼をした。


「うん…」


たったの一言で、簡単な返事だったけれどなぜか嬉しいと思えた。
でも、よく顔を見ると笑っていた。
目の前の男子みたいに“ニコニコ”じゃないけど目が笑っていた。
この時私は、初めて君の笑顔を見た。

それから私は少しずつだけど享弥と話すようになった。
いつのまにか私は、心を開いていたのかもしれない。話すと言っても、挨拶ぐらいで他は必要以上に話さなかった。
ケド、それだけでもいいと思える自分がいた。
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