チョコレート・ウォーズ!!!



顔にかかる髪を耳にかけながら。


「カレシって、何?


何を見たの?」



何故か不安そうな顔で訪ねてくる。



「…土曜日、街で見ちゃったんだ。

すげぇイケメンと歩いてるの…。


アレってカレシだろ?…美男美女でお似合いだったよ…」



想い出しても泣けてくる。


あのせいで、どれだけ俺は枕を濡らしただろう…


「……お兄ちゃんだよ」


そうか…お兄ちゃんって名前……



「え!?


お兄ちゃん!!?お兄ちゃんって、あの オニイチャン?」



何を言っているのか自分でも分からないが、藤野は笑って頷いてくれた。

そして、ちょっと照れながら


「3つ上のお兄ちゃんなんだけど…

買い物に付き合ってくれたの。洋服とか買って貰えるから、よく一緒に居るんだ…。

変、だよね…」


と、打ち明けてくれた。


「いやいやいやいや!!!

全然変じゃないよ!!?ってか、寧ろ素晴らしい兄妹愛で尊敬するッ」



うちなんて…あの姉貴と一緒に居るだけで息が詰まる。



よかった、とホッとしながら

藤野は 持っていた紙袋を俺に渡して来た。



「…?何、コレ…」



「…今日、バレンタインだから…」


…うん?


バレンタインだから、これは…


「チョコ!?俺に!?」


「う…うん…。迷惑…かな」


全ッッッッ然!!!!


っつーか、逆に良いの!?ッて感じだ。



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