lotlotlot3-血脈の果て-
中間空間
「イバーエ君、イバーエ君?」
言葉人形から声が聞こえる。しかし、イバーエは返事が出来ない。どうも木から真っ逆さまに落ちたらしいのだ。返事をしたくても、体を動かすのがままならない。
「・・・うぅ・・・う・・・。」
その姿は言葉人形を通して、エーマリリスにも伝わっていた。

「どうしたんだ?アイワイ、突然・・・?」
突然、言葉人形を取り出したアイワイに驚いた。
「私が使っていた言葉人形は、特別の仕掛けをしてあるの。持ち主に緊急事態が発生した時に、自動的に連絡するようにね。」
「?」
「それで今連絡があったの。今、私の言葉人形を持っているのは、イバーエ君だから。」
アイワイは焦っていたから、かなり早口になっていた。それもあって、エーマリリスはすべてを聞き取れなかった。が、だいたいの状況は理解した。
「そ、そうか・・・。」
勝手に言葉人形に仕掛けを仕込むようになってしまった娘に、なんとも複雑な気持ちを感じた。
「イバーエ君、返事して。」
「・・・う・・・うぅ・・・。」
うめき声が聞こえるばかりだ。
「お父様・・・。」
娘が助けを求めている。
「あぁ・・・。」
状況は芳しくない。それは一瞬見れば、すぐにわかった。
「イバーエ君、何か話せないか?」
「・・・。」
うめき声すら聞こえなくなった。かなりまずい。
「お父様・・・?」
「少し待ちなさい。」
考える。イバーエと自分のいる場所が近ければ、その場に行って助けてやれるかもしれない。しかし、イバーエはおいそれと行けるような場所にはいない。
「お父様・・・。」
「だから、少し待ちなさい。」
少し声が大きくなる。それだけエーマリリスも焦っているのだ。
空白が続く。
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