ちぇんじ☆
 手紙のやりとりは辛抱強く続いた。
 お互いに二週間前の手紙に返事を書きあい、一ヶ月の間手紙が届くのを待つ生活。
 そんな気長なやりとりを三回も繰り返した頃だ。

 学校から帰ってきた私は郵便受けに見慣れた封筒を見つけた。

――あ!カズちゃんからだ!

 浮き立つ気持ちを抑えながら自室に戻る。
 鞄を乱雑に机の上に投げ出し、一刻を惜しむようにカズちゃんからの手紙を開封する。

 手紙の内容はそんな私の浮き立つような気持ちに十分に応えてくれるような内容だった。

『かすみおねえちゃんへ

元気ですか?
ぼくは病気もよくなって元気です。
まだ家には帰れないけど、山の中で虫をとったり
川でさかなをつかまえたりしています。
ここでかすみおねえちゃんとあそんだらたのしいだろうなと思います。
はやく帰れるようにがんばるね!
かすみおねえちゃんも学校の勉強がんばってね

                   一哉 』

――へえ、外で遊べるくらい元気になったんだ。

 これは良い知らせだった。
 カズちゃんも弟の直哉くんみたいに家の中に閉じこもって治療の日々ではないか?
 そんな心配をしていたので離れているとはいえ元気なカズちゃんを想像するだけでも嬉しくなる。

 それにしても、遊びが虫採りに魚捕り……カズちゃんの住んでいる場所はやはり相当な田舎のようだ。
 でも、そんな場所でのんびりとカズちゃんと遊べたら楽しいんだろうな。

――遊びに行ってみようかな?

 もう少しすれば学校は夏休みに入る。
 カズちゃんの顔も見たいし……会いに行ってみよう。
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